1. 家計調査の人数と、事業所調査の雇用を区別する
BLSのEmployment Situationは、CPS(家計調査)とCES(事業所調査)を使います。家計調査は労働力・就業・失業を、事業所調査は非農業給与雇用、労働時間、賃金等を扱います。
家計調査では複数の仕事を持つ人も一人として数えます。事業所調査では複数の給与名簿に現れる人がそれぞれの職で数えられます。同じ一人が二つの職を持つ仮定なら、人数一人と職二つは異なります。農業・自営業などの対象にも違いがあり、二つの調査の雇用数をそのまま足しません。
2. 失業率が下がっても、就業者が増えたとは限らない
家計調査の失業率は、失業者数を就業者と失業者の合計である労働力人口で割った割合です。総人口で割る割合ではありません。非労働力人口と労働参加率も別に確認します。失業の判定は失業保険を受給しているかどうかで決まりません。
単純な仮定で就業者95人・失業者5人なら失業率は5÷100=5%。失業者のうち一人が求職をやめ、ここでは非労働力人口に移ったとすると、就業者95人のまま失業者4人・労働力人口99人となり、4÷99≒4.04%です。就業増なしに率が下がる例で、実際の統計を再現したものではありません。
3. 発表日、対象期間、前回値の改訂を残す
BLSの説明では、家計調査の基準は一般に月の12日を含む暦週、事業所調査は12日を含む給与期間です。必ず同じ暦週とは限りません。公表された月とデータの対象月、季節調整の有無を確認します。
事業所調査の直近二か月の推計は、追加報告や季節調整で通常改訂されます。仮定で前月が初報1,005から1,008へ改訂され、当月が1,010なら、当月の前月差は2です。前月の初報と比べた5を当月の増加数にしません。現行の公式発表には他の改訂や方法注記がないかも確認します。
| 値の種類 | 仮定の値 | 当月との差 |
|---|---|---|
| 前月の初報 | 1,005 | 5(改訂を反映しない比較) |
| 前月の改訂後 | 1,008 | 2(改訂後との比較) |
| 当月 | 1,010 | 比較する対象 |
4. 雇用の見出しを、一つの売買ルールにしない
非農業雇用、失業率、参加率、労働時間・賃金の系列、前回改訂、対象期間を一緒に読みます。ADPの民間指標や週次の失業保険申請とは、対象と方法が異なります。
『何万人以上なら買い』『失業率低下なら必ずドル高』という固定の判断にはしません。発表予定はBLSの公式カレンダーで確認し、現地時間、夏時間、日本時間への換算、予定変更を点検します。毎月の特定金曜日や日本時間を無条件で固定しないでください。
5. 数字を比較する前に、条件を一行で残す
「対象月/CPSかCESか/人数・職・率の別/季節調整/前月の初報と改訂値/当月値/公表日時」を並べます。予想と比較する場合は、同じ系列を予想した資料の取得時刻も残し、発表後に更新された予想を当初の予想として使わないようにします。複数の見出しが違う方向に動いても、まず調査と分母の違いを確認します。
確認した公式情報と関連ガイド
経済指標の索引 / ADPの独立雇用指標 / 失業保険申請 / 日本のCPI / 発表・資料の日時